当社は、防災行政無線などで使用されるスピーカーの音達エリアを、Web上で簡単に設計できるシステム「OPACRESS」を開発しました。
大規模災害や火災の際、住民への確実な情報伝達は極めて重要です。
地方自治体の避難勧告や消防・警察などの緊急情報を迅速かつ的確に伝えるため、多くの地域で同報系防災行政無線の屋外スピーカーが設置・運用されています。しかし、従来の設計手法には課題があり、音の伝達品質に限界がありました。
従来のスピーカー設計の課題
- 2次元の理論値計算(距離減衰のみ)を基に設計
- 標高や建物の影響を考慮できず、音の伝達設計が不正確
- スピーカーの聞こえづらさ・伝えづらさの問題が発生
「OPACRESS」による設計の革新
この問題を解決するため、3次元シミュレーション手法を用いた設計品質の向上を実現しました。
- PCのブラウザ上で直感的に作図可能
- スピーカーの追加・削除・位置変更を簡単に修正
- 標高や空気減衰(温度・湿度・気圧)を考慮した正確な音達エリア設計が可能
- 隣接するスピーカーの音圧を合成し、伝達範囲を最適化
- スピーカーの位置や種類などの情報をCSV形式で入出力可能
本システムにより、従来の2次元設計では困難だった標高や環境条件を考慮した精度の高い設計が可能となり、作業時間の短縮にも貢献しています。この技術の成果が評価され、当社の社員が総務省消防庁の科学技術賞を受賞しました。
